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   教具の楽勝版
Q:英語活動を年間10回で取り入れていたときは、そのための教具作りもゆとりをもっ
 て進められたのですが、今年から25回に増やしたら、いままで作りためた教具を使
 っても、とても間に合わなくなりました。学年毎に協力してやっていますが、来年度
 はさらに35回、毎週1回英語活動をすることになっていて、大変なことになる、と
 今から心配しています。ネットからダウンロードしてカードを作れるような資料はあ
 りますが、活動がワン・パターンになってしまいそうです。長年英語の授業をしてい
 る学校では、教具をどの様にして制作・活用されているのでしょうか。

 
A:先生方のご苦労が目に見えるようです。教具作りも授業の手順を思い浮かべながら作
 っていると、色を塗り、切り抜き、のりで貼って補強し、と楽しい作業ではあります。
 でも、学級担任の先生方は、算数の授業案・家庭科の準備・社会科の資料集め・音楽
 の時間のピアノの伴奏練習・理科の実験準備・国語のした調べ・図工の時間に使わせ
 る道具の点検・体育指導のグループ作りなど、クラスの子どもたちの顔を思い浮かべ
 ながら、やらなければならないことは山のように押し寄せてくる、その上、保護者と
 の連絡、クラスでの思いがけない出来事への対応など、言い尽くせないもろもろの仕
 事の合間をかいくぐっての作業ですから大変です。英語だけを教えていればいい専科
 の非常勤教師が大変だというのとは状況が全く違います。
  そこで、なんとか楽に、短時間で授業をサポートしてくれる教具はないものか、考
 えてみましょう。実は、目の前に、手を全く加えなくても子どもが本気になって活動
 に参加できる教具がたくさんあります。

1)子どもの持ち物を使う

 @一番手近なものは、子どもの衣服
  ◎何色の○○を身につけているのか
   Who is wearing a blue T-shirt?   Who is wearing white socks?
   Show me your handkerchiefs.   Who has a pink handkerchief?
 
  ◎ポケットやボタンの数を数える
   How many pockets do you have?   How many buttons do you have?

 A子どもの筆箱
  ◎まず筆箱の色
   What color is your pencil case?   Who has a red pencil case?  Do you
   have a black pencil case?   Show me your pencil case.   May I open it?

   ◎鉛筆の数を数える
   How many pencils do you have?
  
   ◎変わった形の消しゴムを持っている子どもがいたら、これは何?
   What is this?  Is this an eraser?  動物や果物などの形の消しゴムがあれば、
   それを話題にして、What is this?  It is a zebra.  Is this a pig? 使い込んで
   形が変わっていると、What is this?  と本気で聞きたくなるでしょう。

2)教室の掲示物を活用する
 @カレンダーで月の名前と日付を確認 曜日の名前を確認

 A時間割で教科の名前を確認 曜日の名前を確認

 B時計があれば 時刻を確認

 C給食の献立表で 料理の名前、食材として使われている野菜の名前の確認
  給食は何でも好き嫌いなくいただかなければいけませんが、そこから食べ物に発展
  させて、好きな食べ物・朝ご飯の献立などを話し合います。日本食はそのまま英語
  に直さないで、I had natto for breakfast this morning. のように話します。
  
 D子どもの習字や図画・工作の展示物
  What is this kanji?  It is 平和.  It is peace.  Whose is this?  誰が書いた
  Whose is this?  図画では、校庭の写生、友だちの肖像など、利用できるもの? 
  のがたくさんあります。

  *掲示物ではありませんが、落とし物が溜まっていたら、Whose is this? と
   言って持ち主に返します。無記名の答案を返すときは、もちろん Whose is 
   this? ですね。

3)他教科のテキスト
 @学科名の確認
 Aページさがし
  理科や社会科の教科書のイラストの中には、英語で言えるものがたくさんあると
  思いますから、それをヒントにページ探しをします。社会料資料は、歴史も地理
  も両方ともとても役に立ちます。

4)使い込んで傷んでしまった掛け図や図書室の図鑑
 廃棄処分になる前に確保しておいて、切り抜いたりすれば、立派なカードに蘇りま
 す。また、少し厚手のものであれば、一つの絵を20前後のピースに切り離すと、
 ジグソー・パズルができます。直ぐに What is this?   Who is he?   How many
 trees do you see?  などの活動ができます。

5)新聞の折り込み広告
 これはいろいろなところですでに紹介していますが、特にスーパーの広告などはカ
 ラフルで、食べ物など子どもの興味を引きつけるものが満載されていますので、楽
 しい活動になります。そのまま広げて話し合ってもよし、ちぎっていろいろな形に
 しても、折り紙のように折って何かを作り出してもよし、値段を当てるゲームをし
 てもいいですし、つきることのないアイディアの宝庫となります。

6)先生のハンドバッグ・バックパックの中味
 個人情報で問題にならない程度に、中味を子どもたちに当てさせます。 Do you
 have a pen?  Yes, I do.   Do you have a key?  Yes, I do.   Do you have 
 chewing gum?  No, I don't.  など。分からない単語は、そのまま日本語で、Do 
 you have a kagami?  Oh, do I have a mirror?   Sorry, I don't have a mirror.
 と続けても、十分英語を使った気分になれます。

7)ラッキー・セブン最後の奥の手
 先生が学生時代に何度も聞いた、アメリカやイギリスのグループ・サウンズのCD
 を聞かせる、というのは如何ですか。英語をたっぷり聞かせられます。先生が楽し
 そうに体を揺すりながら聞いておいでになれば、子どももそのリズムに乗ってくる
 でしょう。「先生、この歌好きなの?歌えるの?歌詞カードあるの?」と聞いてく
 ればしめたものです。 

 きりがないので、今回はこの辺で。先生方が他教科で実践されているアイディアを
活用してくださると、さらに教具の数々で授業を活性化させてくださることができる
と思います。

                            久埜百合(中部学院大学)

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