わたしわたしわたし
  
                                
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英語を‘使う’とは ? 
   
     
     子どもたちとの授業では、様々な感動があります。
   そして、「英語を‘使う’」とは、こんなことなんだろうなぁと、気付かせてもらっています。

  「語彙をこんなに沢山覚えた」とか、
  「こんな英文も言えるようになった」というような尺度では測れない  子どもたちの学びの様子の記録をご紹介させていただきたいと思います。
 
  1)「聞く」 

    実例@ I am from Fukuoka.

        神奈川県のある公立小学校の6年生クラスで、授業をさせていただいた時のことでした。
     I am from Fukuoka. と自己紹介をした瞬間、ぱ〜っと顔を輝かせた女の子がいました。
    近づいて Are you from Fukuoka, too?  と尋ねると、
         小さい声だけれどとてもしっかりと、 Yes.  と答えてくれました。
    「福岡のどの辺なのかなぁ」 と、そんなことも思いながら、‘私たちの共通点’を、
         私もとても嬉しく感じました。 
    
    たかが‘それだけのこと’かもしれませんが、私にはとても豊かな経験でした。
    また、私の自己紹介を ‘聞いて、心を動かしてくれた’女の子を目の当たりにして、
    「英語を‘使う’」というのは、話したり、書いたりという‘発信’だけでなく、
    聞くという‘受信’の段階においても起こっているのだと思いました。  


  注)以降ご紹介するのは全て、民間の英語教室(クラスサイズ 12人程度)の小4〜小6年生
        のケースです。
     

    実例A 「ぼく、早く寝てるよ!」

    「 Go to bed late, 
     Stay very small;
         Go to bed early,
         Grow very tall.  」 
         というライムを聞き終えた瞬間に、とても小さなな男の子(5年生)が
    「ぼく、早く寝てるよ!」 と、怒ったように言った、ということがありました。

     これも、‘聞いて、心が動く’という、聞く段階において‘英語を使っている’実例では
          ないでしょうか。


  2)「話す」
 
       実例@ I am a door.  I live in the house.

       「I am a whale.  I live in the sea.
        I am a fish.  I live in the river. 」
       というようなテキストの文例をお手本にして、子どもたちに口頭作文をさせた時のことです。

    子どもたちは、最初は、 
       I am a fish.  I live in the sea.
       I am a bird.  I live in the tree.  等、‘ふつう’の表現から始めました。
    I am a うんち.  (ここで一瞬 またそれ!? と思ってしまったことを 
            私はすぐに反省することになります。)
    I  live in the mountain.  (ハイキングでのことを思いだしての真面目な作文でした。)

    I am a door.   I live in the house.   こういう発想は 大人にはできないのでは?
                     ここからは もう大変でした。
    I am a window.  I live in the house.
       I am a curtain.  I live in the house.
       I am a トイレ.  I live in the house.
       I am a sofa.  I live in the house.
    I am a hat.  I live in the house.
       あれも言える、これも言える、と次から次へと手があがりました。 
    そして、いい加減 ‘in the house’ に飽きてしまったのでしょう、
    I am a ・・ 曇って何て言うんだっけ? I am a cloud.  I live in the sky.   と 
       新たなアイディアが出てきました。


   実例A The lemon is yellow.   The lime is green.

   The banana is yellow.  The watermelon is green. という風に作りかえられない? 
       の私の一言に 次々発表してくれました。

   最初は、例題にならい、果物や野菜について、
   それからは、食べ物も動物も何もかもごっちゃ混ぜで思いつくままに、という風に
       発展していきました。
   そして、最後は教室内を細かく見回し、
   ABC Card is yellow.   BINGO Card is green.  などなど。
      (注 ABCカードの箱は黄色。 BINGOカードの箱は緑です。) 


    ●実例@もAも、けっして難しい表現ではありません。
   しかしながら、次から次へと、これも言える、あれも言えると表現することを楽しんでいる
       子どもたちの姿を見ながら、「英語を‘使う’」とは、こういうことではないだろうか と
       思いました。
   
 
   実例B なぞなぞ

      「 I have a face.
        I have two hands.
        I have one long hand and one short hand.
         I don' have legs.
         What am I ?  」

        上記テキストの‘なぞなぞ’を参考に、私もなぞなぞをいくつか出題し、
    仕上げに テキストのテープを聞かせた時のことでした。
    「待ってました!」 と言わんばかりに
    「ぼくにも作らせて!」 と言ってきた男の子がいました。
 
    生徒作(a)  最初は、 I have four legs.
                  それから、 I have two legs.
                  最後は、 I have three legs
                                         (答え: 「人」 最後は杖をつくので3本足)

    生徒作(b)  I have a face.
                   I have one big mouth.               
                   I have one leg.                              (答え: 「ポスト」 )
                      
                      *これに関しては、 他の生徒から「口は2つじゃない?!」という
            クレームが出ました。 
                        1つのも2つのもある、ということで、全員納得しました。

   その他、例えば、教室にあるクーラーを題材にしたりと、身近なものでの出題や、
   日本語のなぞなぞを精一杯英語で表現したようなものが多かったです。
   中には ん?? 不出来じゃない? というようなものも結構ありましたが、 
   私の期待を遥かに上回る反応で、いろいろ考えてくれました。


  
  3)「書く」 

    実例  I am a fish.   I am happy.

        小6末に、 I am (誰).    I am (気分).  で、口頭作文をどんどんさせ、
    「その中からいくつか書いてみよう」という指導をした時に、女の子が書いた英文です。
     (注: 単語のスペルは、お手本の英文とWord Book から探して書き写しています。)

    I am a fish.  I am happy.
      I am a tree.  I am sad.
      I am a bird.  I am happy.
     I am a cat.  I am sleepy.
       ・・・・  (もっともっと書いていましたが、記録が残っていません。)

    巡回しながら書いたものを音読させていると、
    自分が書いた内容を説明してくれました。

    金魚は、居間で飼っているから、みんなと一緒にいて happy なの。
    木は、外にいるから悲しがってるの。
    毎朝庭に鳥が来るんだけど、いつも楽しそうにチュンチュン言ってるの。
    うちの猫は寝てばっかり。

    その説明を聞くまでは、その子が書いたこのシンプルな英文に、そんなに豊かな思い
     が込められていることに気付きませんでした。

      
  子どもたちは、「とにかく、何でもいいから、そのようなことを言えばいいのね。」と
  機械的に処理をするのではなく、
   本当に言いたいと思うことで一所懸命表現してくれるんだなぁと感じています。
  くったくなく「自分が言いたいことで表現すること」を楽しんでくれる児童期に、
  このような経験をたっぷりさせてあげておくこと、 
  それが、将来「英語が使えるようになる」ことの下地作りの一つではないでしょうか。

                                                           岩橋 加代子 (ぼ〜ぐなん)      


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