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小学校の英語教育で何が大切か 
財団法人語学教育研究所「2007年度研究大会」2日目(2007.11.4.)、第10研究グループ
による発表、「児童英語教育研究--小学校の英語教育で何が大切か、授業を通して考える」 
(授業者 相田眞喜子・田園調布雙葉小学校、 解説者 粕谷恭子、 提言者 久埜百合)に
参加しました。

授業視聴や解説・提言等、2時間に渡る盛りだくさんの内容で、「ことばとは何か」「第二
のことば(英語)の習得においても、どのような経験が大切なのか」 「子どもたちに、どのよ
うに ことば(英語)を与えれば学びが起こるのか」について、沢山の気づきと課題をいただい
た発表でした。
その中で読者の皆様と一緒に更に考えてゆきたいと思ったことを、2つ紹介させて頂きます。
「※」で始めた段落は、私の感想です。皆様からのご意見をお待ちしております。

(1) 子どもの内面で何が起こっているのかを考えることが大切

  授業者、相田氏のコメントより:

   例@ 教室に入ってきたとき暑かった。 天気を話題にした授業だったので、すかさず、
      Are you hot? と聞いたり、エアコンをつけるには微妙な時期だったので、
        Shall we turn on the air-conditioner? と尋ねる等、子どもたちの意識を天気
             に関連することに持って行った。
      

   例A 新聞の写真を見せて、「岩手では、いっぱい雨が降ったんだね」という語りかけ
      を行った。たまたま5年生が福島へ林間学校に行っていた時なので、「大丈夫か
             な?」という気持ちから、How is the weather in Fukushima? と問いかけ、
                  低学年の頃から馴染んできた Rain, rain, go away! のライムをみんなで言った。
         
         例B  "I Can Walk"(注)を歌っていたとき、「蝶って歩けないよ」とつぶやいた子がいた 
      ので、蝶は歩けるか歩けないかというやりとりをした。 canはできる、can't は
             できない、というところで止まってしまうのではなく、このように、「え、本当
             に歩けるの?」と「心の動き」が伴い、子どもがいろいろ考えながら言葉を聞き、
             自分の考えを伝える経験を通して、ことばがより深いところで根付いてくれると
             いいと思う。
 

   ※一見、とても自然な授業でしたが、子どもたちの心の動きを細かく考えて練られてい
    ると感心しました。
    「使いながら覚える」という表現をよく耳にしますが、「使う」=「話す」と解釈され
     ているケースが多いように感じます。「使う」とは、意味のある情報の伝達・受信が
     起こることであり、「聞く」という受信を通して「心が活発に動く」時も、子どもた
     ちは、まさしく、「ことばを使っている」のだと思います。そして、このような受信
     が起こるようにことばを与えることが大切なのだと思います。
    それに対し、分かりきったことを言い合ったり、どう答えなければいけないのか決め
     られていたり、言わせていることが事実とは異なるような活動は、ことばを「使って
         いる」とは言えないと思うのです。「パターンを暗記すれば、応用して使えるように
    なる」と信じ、私たちは中学生の頃から、暗記に時間を費やしてきたのではないでし
         ょうか。でも、その結果、英語が使えるようになった人というのは、極一部だと思い
         ます。将来、誰もが、ある程度は、英語を使えるようになるための基盤作りを小学校
         から始めることが公立小学校に英語を導入する目的だとしたら、英語の形を覚えさせ
         る指導法から、子どもの内面で何が起こっているのかを大切にした指導法に切り替え
     るべきだと思います。

(2) 子どもに経験させる「ことばの質」は大切

  解説者、粕谷氏の沢山のコメントの中のひとつに、
  「小学校と中学校の連携を考えたときに、言葉の質は大切となる。しかし、現在は、コミ
  ュニケーションできればいい、分かればいい、通じればいい、という考え方が強いように
  思う。母語話者でない以上、間違ってしまうのは仕方ないが、正しくない英語でも構わな
  いという考えで指導に当たるのは危険である。」という大変厳しいものがありました。

   

   ※正しい英語を使うことは、私たち日本人には、とてもハードルの高いことですが、子
    どもたちにことばをインプットする以上、常に心がけていなければならないことだと
         思います。これは、日本語で考えてみると分かり易いと思います。
    仮に、外国で、外国の子どもたちを、定期的に長期、家に招待したとします。時々テ
      レビで日本語放送をしているので、その子たちは、日本語がどのようなものであるか、
    その音の特徴は何となくは分かりますし、知っている日本語の単語もありますが、日
    本語で話しかけられたり、日本語で話してみたりという機会は、その家に招待された
         時だけです。もし、招待した家の人たちが、文法的に正しくない日本語や、音の流れ
         に訛りの強い日本語でその子たちに話しかけていたり、或いは、文で話しかけても難
         しいだろうという理由で、主に単語だけで子どもたちとコミュニケーションを取って
     いたとしたら、どういう影響がでるでしょうか。


   子どもたちに「言わせる」前に、私たちがインプットしている英語の質(心が動くような
   内容であるかどうかも含め)を、如何に改善していくべきか、私たちの努力目標が見えて
   きたと思います。

    (注)久埜百合作 Welcome to Wonderland Blue Book (久埜百合著 ぼーぐなん出版)に収録

                            岩橋 加代子 (ぼ〜ぐなん)

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