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数 え る 魔 力
  1年生の教室には大きな木がある。木といっても茶色の模造紙を壁に貼っただけの木で
 ある。読書の秋にちなんで、本を一冊読むとみかんの形をした紙をその木に貼っていくこ
 とになっているのだそうだ。

  まだみかんが数個しかないときに、きまぐれに英語でみかんの数を数えてみた。7個だ
 った。 次の時間も数えた。20個ぐらいだった。その次の時間も数えた。みかんの数はど
  んどん増え、100個を越してしまった。 100以上あるものを数えるのは大人の私にはち
  ょっと辛いが、子ども達は自分たちが貼ったみかんの数を数えるのに7個だろうと100個
  だろうと新鮮な声の響きを聞かせてくれる。

  ある日教頭先生が、 すまないがこれをもらってくれと言って文庫本10冊ぐらいが入り
  そうな箱をくださった。中にはボールペンがぎっしり入っている。書けるペンも少しは入
  っているがほとんどは書けないのだという。他の教員や知人に押し付けてもまだまだ残っ
  て困っているのだそうだ。人助けと思ってもらってあげることにした。

  その箱を5年生の授業に持っていって中に何本ペンが入っているか当てさせてみた。
 50、72、85。みんな思い思いの数を無責任に並べ立てる。では数えてみよう、とい
 うことにして数えていった。50数えても箱を振るとまだ音がする。70を越してもまだ音
 がする。 2本以上は入っているような音だ。「ああ、72じゃないなぁ」とため息が漏れ
  る。 そんなに重大なことじゃないのに、この真剣さ! 結局ぴったり100本だった。「半
  端じゃなくてよかった…」という不思議な充足が教室を包む。
 
  単調なはずの活動内容でも、そこに「自分」がいるとき子ども達の声には思いがこもる
 なぁと改めて感じさせられた。つくづく不思議な生き物である。

                        粕谷 恭子  (聖マリア小学校


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