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          担任の先生、頑張って!
Q: 新学期が始まって、あっという間に2ヶ月が経とうとしています。
  私は教員になって5年目、今年初めて5年生32人を担任しています。
  新しいALTとの英語の授業も始まりました。ところが、突然体調を崩した、と
  いうことでALTが来られなくなり、私一人で授業をすることになりました。
  去年の3年生のクラスでやった What's this? という活動を思い出して、何とか
  1コマをやり通しました。どうしても所々に日本語が入ってきてしまい、とても
  不安でした。でも、授業をやり終えて、少しホッとし、かすかな自信も生まれま
  した。このような状況で、担任が授業を進めてもいいものかでしょうか。子ども
  のためになるのでしょうか。

A: 先生のかすかな不安のお気持ちの中に、ご担任のクラスの子どもたちを、自分の
  子どものように愛していらっしゃるのだな、と先ずお言葉が心に響きました。私
  も励まされるお便りでした。本当にありがとうございます。

  担任の先生方の中には、英語教員の免許を持っておいでの方もありますが、多数の
  方が英語を教えないはず、と言うことで教職につかれたと思います。そのために、
  「自分は英語教育に関しては、無資格者ではないか」と思われるのかもしれません。
  でも、そこを衝いて、小学校英語を反対される方々が、ともすると忘れがちなのが、
  先生方が小学校教育のプロであり、ALTもボランティア教師も、英語の専任講師
  も持ち合わせていない「資格」を持っておいでになることです。子どもにとって、
  このプロの小学校教育専門家と学ぶ、 ということが一番大切な事だと思います。
  その部分を、先生が無意識にも感じられて、「ホッと」なさったのだと思います。

  どんな素材を使って What's this? の授業をなさったのか分かりませんが、5年生に
  は5年生なりの、「なんだろ?」「当ててみたいな」「不思議だなぁ」というものが
  あるはずです。 葉っぱの陰に隠れていたり、名も無い花が咲いていたり、読めない
  漢字を見つけたり、使い道の分からない昔の生活の道具を見せてもらったり、低学年
  の子どもたちとは一味違う好奇心が湧き、What's this? の世界に浸ります。そこを
  題材にすると、期待以上に語彙を増やすことが出来ます。また、英語を使うことへの
  ためらいよりも、 知りたい気持ちの方が勝って、 思わず英語を使ってしまうことで
  しょう。

  英語教育の市場には溢れるほどの教材がありながら、まだまだ30人を超えるクラス
  で授業をするための教材開発が遅れていることも事実です。先生が音源を駆使して、
  子どもたちと作った絵カードなどで授業をすることができるようにしたいものです。
  また、これなら担任の先生にもやれる!という教え方を整理し切れていない、どこか
  に英語の専門家に頼りたくなるような教え方が普及しているのではないか、とも思い
  ます。

  日本で英語を学んだ教師は、不自然な英語で我慢しなければならないことがたくさん
  あります。中学や高校で教えている者にとっても、発音も語法もネイティブスピーカ
  ーのようにはいきません。でも、子どもたちは先生の英語を「独特のもの」として受
  け入れ、先生のとは違う発音や話し方も、それなりに受け入れてくれます。そういう
  場面に何度も遭遇しました。 無理に教え込もうとすると、子どもたちは先生の気持
  ちを汲んで指示通りに活動しますが、繰り返し練習をすると、「そんなの、つまんな
  い!」という顔をします。子どもの厳しい瞳が、私たちの教え方の不味さを映し出し
  てくれます。 子どもたちに教わるつもりで、頑張ってみたいとおもいます。 英語の
  素材がきちんと整えられている教材にめぐり合い、それを頼りに授業を進めてみまし
  ょう。
   
                         久埜 百合  (中部学院大学)


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