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子どもが自分で
英語のルールを見つけ始めるとき
 
ワードブックを使ってページ探しをしていたときです。その学校は4年生から始めて、年間12回の英語活動を
行っている学校です。
I can see a jungle gym.  I can see a tennis racket.  I can see some cars.  There are many cars.  
というふうにヒントを出していきました。街の場面のページです。
「あ、わかった!」と嬉々として手を上げた子がいます。その子とのやりとりです。

T: O.K.  What page is it?
S: 十八と十九。
T: How do you say 十八 in English?
S: えええ、っと。
T: 十八 is ten plus…
S: (心の中で=One, two, three, four, five, six, seven,)Eight!
T: Yes! Ten plus eight is eighteen. Ten plus eight is eighteen. 
   Eighteen.
   Then, how do you say 十九 in English?
S: (心の中で= One, two, three, four, five, six, seven, eight, nine.
    Eight が8で、それに/teen/てつけたら18だったから、きっと19はnineに/teen/をつけるにちがいない
    だろうから、ええっと) 
    Nineteen!! 
T: That's right!!  Nineteen.

 (心の中で)という部分は、教師の観察から想像しているに過ぎないのですが、4年生が自分で仮説を作って
 ある結果にたどり着いて発話するまでにかかる時間や、表情からおよそこうした動きだったろうと確信して
 います。表情のはっきり出る子だったので、あごを小さく上げ下げしているのは数を言っているのだな、とか
 目を上のほうにあげて何かを反芻しているのはeighteenにたどり着く道のりを自分の中で行っているのだなと
 手に取るようにわかる気がしました。仮説を立てているときの"哲学的な"表情と、Nineteen! と言ったときの
 霧が晴れたような表情は、今でもはっきり覚えています。もちろん、この子が哲学的な表情で考える『間』を
 暖かく共有する学級経営の力が大きいことは言うまでもありません。「早くしろよ」などという子はだれもなく、
 かといって固唾を呑んで重苦しく見守るということでもなく、実に朗らかに待っている心地よさがありました このときは、たまたま子どもが自分で試したルールが正解だったのですが、いつも正解とは限りません。あたる
 ときもあればあたらないときもあります。大事なのは、何もかも受動的に教えてもらうのではなく、言葉と付き
 合う中で「こうかな、ああかな」と能動的に関わることだろうと思います。そこで大きな働きを果たすのが教師
 の語りかけです。答えを用意するのではなく、子どもが自分で考えるプロセスを楽しめるような働きかけを目指
 していきたいものです
                                                     粕谷 恭子  (聖マリア小学校)

編集部
 4年生の子どもがnineteen に辿り着く様子もかわいらしいのですが、それを待っている子どもたちの様子
が目に見えるようでした。一緒に考えている子ども、先に答を見つけて、その子どもが答えに辿り着くのを
待っている子ども、あと一息、同じルールでもいいのかなぁ、と半信半疑の子ども、いろいろな子どもが支
えあって進行する授業のぬくもりが伝わってきます。先生がNineteen! と教えてしまっては、授業は一見早
く進むようでいて、子どもの学びを潰してしまいます。子どもの学びを支える、ということは、このような
授業の一瞬一瞬を繋げていくことだと思います。
 
 新学期開始はついそこまで来ています。教師にとって一番大切なのは子どもたちを観察すること、そして瞬時の判断で手綱を緩めたり引き締めたりすることでしょう。そのためには子どもをよく知っていることが
大切。子どもとの距離間を少しでも縮めて「子どもを知る」チャンスをたくさん見つけたいものです。
今年も細やかな心配りのある授業つくりを続けましょう。
                                                          久埜 百合 (中部学院大学) 


 

  今回の広場、”子どもが自分で英語のルールを見つけ始めるとき”を読んで、
  私も学生の時に似たような経験があったことを思い出しました。

  外国人の先生に、君はサシミが好きか?と聞かれて「いいえ」と答えた時に、
  なんで?と聞かれたので、「生臭いってなんていうんだろう?」と考えた末に、
   そうだな、女の子っぽいは Girlish、男の子みたいな時は Boyish だから 
  「Fishish!」と答えたので 先生は爆笑しました。そしてにっこりして「ナイス
  トライ!だけど、それを言うならFishyだよ」と教えてくれました。

   その時に、私はたどたどしい英語しか話せませんでしたが、君はきっと英語が
  上手になるよ、と先生が言ってくれたのでとても勇気付けられたのを覚えています。 

  今思い出すと笑っちゃいますけれど、言語を学んでいくというのはそういうパズル 
  のような試行錯誤を自分の中で繰り返すことなのかも、と今でも思います。
                                          佐藤 なつ

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