HP  (19)

視聴覚教材を活用しながら
子どもたちの言語活動能力を高める   
 
    
  「広場 No.17」でのお喋りで、どうやったら、子どもたちが間違いの少ない英語の使い手となれるか、が話題
となりました。子どもたちは、どうしても英語のルール違反を犯しながら、英語のゲームに興じたり、音を抜かし
たまま歌ったりします。実は、大人も中々完全な英語を使えるとは限りません。どうしたら、英語のルールに敏感
な、自分でも間違いを修正できる学習者に育てることができるかを考えてみましょう。  
             
 答は一つ、間違いのない英語をたくさん聞かせることです。とすると、教える先生が「間違いのない英語」を
常に聞かせなければならないのでしょうか?これは骨が折れます。というか、もう無理!と降参したくなります。
そこで、私たち教師の代わりをしてくれるのが、視聴覚教材という、CD、カセットテープ、ビデオ、DVD、CD-ROM
など、英語教育教材として欠くことのできないものです。

 殆どの教材にカセットテープではなく、CDがつくようになりました。イヤホーンを付けて、'ながら族'で聞き続
けてもいいですし、テキストを見ながら聞いて、分からなければもう一度巻戻して聞きなおすという、典型的な
学習ができます。カセットテープは、'旧時代のもの'になりかけていますが、細部の頭出しは楽にできます。CDは
頭出しが困難とは言え、ちょこっとだけ巻き戻して必要な箇所だけを聞くこともできます。「もう一度!」といっ
ても、絶対に文句を言わずに繰り返してくれる、機器のありがたさです。

 ビデオ、DVDなどは、音だけでなく映像があるので、臨場感もあり意味の理解を助けてくれます。英語が使われ
ている場面によって、声の表情が変わることも分かりやすいので、その表情そっくりにあとについて真似をする
のも楽しいでしょう。

 この数年、テレビの英語教育番組が増えました。その昔、セサミーストリートなどだけしかなかった頃に較べ
れば、日本人の習得レベルに合わせたものが各種あるので、利用したいものです。「えいごリアン」(注1) など
学校放送の番組を録画して、何度でも繰り返し見直すことができますし、子どもと授業をする前に、先生があら
かじめ練習することもできます。

 もう一つ、子どもと楽しむこともできるゲーム感覚で使えるCD-ROMも、英語の教材としてすぐれたものが
増えてきました。マウスをくるくる使って、答を見つける。間違った答をクリックしたときに意外なおもしろい音
が聞こえてくると、子どもたちはわざと間違えて楽しんだりします。その度に英語を聞きなおしますから、さら
に効果的です。

 最近の経験ですが、小学校時代に英語をたくさん聞いた子どもたちが、中学生になってさらに勉強を続ける
ときに、積極的に英語を自ら使おうとしますし、間違いも少なく、また間違えても自分で何とか直そうとしたり、
つっかえそうになっても諦めずに何とか英語で持ちこたえようとしていました。

 先生1人が頑張ろうとせず、このような教材の助けを借りて、インプットの量を増やしていきましょう。テープ
の真似が上手な子どもたちは、私たちより先に、聞こえてきた英語そっくりに音を作ることができます。それだけ
に、表情豊かな、聞き取りやすい声の録音を選びましょう。

 ただ、視聴覚教材を使いっぱなしにするのではなく、やはり先生と英語を使い合う活動は大事にしたいもの
です。どんなに優れた視聴覚教材でも、子どもたちと'生のコミュニケーション'はしてくれません。先生方の語り
かけによる指導と、視聴覚教材を活用した指導をバランスよく採り入れましょう。

                                                              久埜 百合 (中部学院大学・千葉大学)


注1 現在は「えいごリアン」2001年度版を再放送中。
     http://www.nhk.or.jp/eigorian/eigorian/fun/schedule_h.html
   「えいごリアン」2000年版、2001年版ともにビデオ /DVDで発売しています。
   下記URLをご参照ください。
        http://www.nhk-ep.com/view/10084.html
     http://www.nhk-ep.com/view/10559.html? banner_id=ovdeigolian&ovmkt=B4D7K8NVKE8JJTVQCMQCVKCHA4

         


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