『えいごリアン』を活用しては

 

『えいごリアン』は45分授業のどのあたりで見せるのがよいのか

授業を始めて数分、子どもが落ち着いて英語に集中し始めたころ、本時の指導目標である表現を分かりやすい英文で、

簡単なQ&Aをします。〈やり取り〉の始まりです。子どもがすでに知っている単語を多く使って、どの子も答えたく

なるような気分になったところで、同じ指導目標を扱っている『えいごリアン』を15分一挙に視聴します。何となく

分かりかけたところで『えいごリアン』を15分みせると、マイケル、ジャニカ、ユージさんの3人が演じるスキット

2つ、マヨケチャのアニメ、ミニ・ユージのチャレンジコーナー、世界へ飛び出す映像コーナーなどで、その表現を繰

り返し30回前後使ってくれますから、子どもの理解が深まります。見終るまでに、子どもは心の中で、その表現を繰り

返して使っています。これは幼児の言語習得の時に起こるinner speechと同じで、指導者がつい見逃してしまう言語

習得上大切な行動です。視聴後、「分かった?」などと質問せず、さりげなく、その表現を使った応用発展の活動を15

分くらい行います。授業の終わり5分前くらいまでに、子どもたちは、ユージさんより上手に指導目標の表現を使える

ようになっていて、〈やり取り〉を楽しむことができるのです。不思議ですね。

 

なぜ『えいごリアン』を15分続けて見せるのか

115分の映像では、マイケルたちが指導目標である表現を、次々と場面を変えて繰り返し視聴することができます。

子どもたちは同じ表現を場面を変えて使われるのを映像で理解し、表現の使い方を感じとっていきます。一つの場面

を見せただけでは、限られた場面での使い方を理解するだけで、いろいろな場面でも、その言い方で伝え合うことが

できることを理解するのは難しいのです。言葉の使い方の理解が浅くなり、真似は出来ても自分で応用して表現する

ほどの心の準備ができません。テレビを見せる時間を短くできますが、理解の深まりは減ってしまい、主体的に英語

を使おうとする応用力が付きません。

 

※『えいごリアン』の放送時間15分と短時間学習

 短時間学習を153回取れれば、週1回の短時間学習に丸ごと見せることも可能です。2000年の放送開始直後に、

そのような使い方をされていた学校もありました。視聴後は他教科の授業を続けられていて、視聴したものについて

練習をすることはありませんでした。でも、子どもたちにとっては楽しみな時間で、英語を使ってみたくなる勇気を

もらう時間でもありました。短時間学習に充てられる時間が10分以下の場合は、半分を見せて、その続きは「また

今度ね」と言って終了してしまうこともできます。但し、なるべく早く約束は実行します。『えいごリアン』の視聴

については、放送の順序に従うのもいいですが、指導内容に合わせて、適宜選択することもよいと思います。子ども

たちが見たいものを見せる、或いは、同じものでも繰り返し見る、という方法も、大いにお勧めしたいと思います。

視聴させている34年生の子どもが、番組内で使われていた英語を声の調子まですっかり覚えてしまって、現実の

使用場面にぴったりのセリフをそのまま使って担任の先生に話しかけてくる、という事例が報告されています。これ

は、未就学の幼児が家庭で録画されたものを繰り返し視聴していた時に、同じようなことが報告されて、周囲の大人

を驚かせています。子どもは侮れない!

久埜百合 (『えいごリアン20002001』企画委員)

 

※ぼーぐなんウェブサイト 「えいごリアン・コーナー」では、NHKの了承を得て、『これならできる!小学校

英語ガイドブック 〜先生のためのNHK『えいごリアン』徹底活用術〜』から抜粋して、『えいごリアン』の

活用例などを紹介しています。 こちら