2008年度の「えいごリアン2000〜2001」放送は?

 3月も終わりに近づいた頃、NHKから連絡があり、「えいごリアン2000〜2001」
の放送が2007年度で終了するということでした。「えいごリアン」という名を冠した
番組は今3種類ありますが、2000〜2001というのは、マヨケチャのアニメがある、
ユージさんとマイケルとジャニカの仲良しが活躍するあの番組のことです。
 
 2000年に放送が始まり、2001年3月まで40本、多くの学校で利用され、赤ちゃん
やおじいさん、おばあさんも見てくださった番組は、その後再放送されてこの3月まで
「英語ばかりなのに」笑いを誘いながら英語を使う楽しさを伝えてきました。この4月
からは放送されなくなる、というのは一抹の寂しさを禁じえませんが、ビッグ・ニュー
スは、そのホーム・ページは健在、ということでした。放送がないのにホーム・ページ
は残る、というのは異例のことではないかと思いますが、とに角ホッとし、大きな喜び
ともなりました。
 
 私がお伺いする公立小学校で、あの番組を中心にしてカリキュラムを編成し、ホーム
・ページの「先生のページ」にある授業プランをご覧になって授業つくりを続けておら
れるところが多いので、今となってはホーム・ページがあるのは現場の先生のサポート
としてNHKもよい判断をしてくださったものと思いました。
  ※NHKからお詫びとともに、放送終了に合わせて ホームページも閉じることになった、
   と連絡が入りました。(2008.04.05)
 
 折りも折り、別々の学校の先生から、15分の番組の見せ方についての質問が届きま
した。2008年度のカリキュラムを作っているのだが、15分を5分ずつに区切って見せ
ようか、という共通した質問でした。

 放送開始直後から、45分の授業のどこで見せるか、という質問も相次いできました。
それには、@先ず最初に見せて、その番組で主に使われている表現を理解させてからア
クティビティをするAその表現を使った簡単なアクティビティをして少し英語の意味を
予想させてから番組を見せ、更にアクティビティを続けるB授業前に教師が見ておいて、
アクティビティをし、英語を理解させてから最後に15分見せる、という3種類が提案
されましたが、ホーム・ページの授業プランでは、全部Aのスタイルで授業をしていま
す。

 ところで、ご質問のように、番組を全部見せずに、初めのスキットだけ、とか、最後
のスキットだけ、とか、ユージさんが変身したミニ・ユージのチャレンジ・コーナーだ
けを見せて、先生の指導でアクティビティをさせる、という授業も時々見かけました。
実は、番組15分の間に、その番組で扱う表現は30回前後使われていますから、日本語
で説明するまでもなく子どもは内容をよく理解し、その表現を使ってみたくなっている
のです。ところが、ひとつの場面だけを見せることにすると、その英語表現の理解が深
まらないので、結局先生は日本語で○○をやっていましたね、こういう意味ですね、と
説明をしなければならなくなり、アクティビティに取り掛かるまでに時間がかかってし
まうのです。しかも、日本語で納得していますから、子どもが英語を使おうとするとき
も、頭の中で日本語と英語の二本立てで考えながら英語を使おうとすることになり、ど
うしても英語の流れが不自然になります。それよりは、15分、まったく説明無しで、番
組で展開する場面に浸っている方が、英語の音の流れを肌で受け止めることが出来るの
です。

 15分、週3回のモジュールで授業をされている学校では、1回は番組を見るだけ、そ
して、もし子どもたちがもう一度みたい、とか、別のを見たい、といったときには、ま
た15分見て楽しむだけ、ということもされました。教師が教えなければ英語の授業じゃ
ない、と思われているところでは、この様に番組を見せるだけの15分をとても不安に思
われたところもあったようですが、子どもが英語に立ち向かって使ってみたくなるため
には、番組を先生と一緒に楽しんで見るだけ、というのも大いに効果があったようです。

 「えいごリアン2000〜2001」の生い立ちから最終回までのこと、その授業実践に
ついては、「広場」でお喋りしていても立ちくたびれてしまいそうです。機会があれば、
またゆっくり、いろいろなエピソードも交えてお喋りしたいのですが、今日は、ひとつ
だけ、ホーム・ページに加えて、先生方のサポートになるテキストについて申し添えま
す。番組放送開始直後から、毎学期子どもと、子どもと一緒に視聴してくださる方のた
めのテキストをNHK出版で作りました。年3回、新しい学期が始まる前に書店に並んで
いました。このテキストでは、毎回の番組を視聴して、その応用として使えるアクティ
ビティの紹介と簡単な教具のアイディアを添えて置き、巻末に詳しいアクティビティの
解説を添えました。これは2007年度で販売を終わりました。

 その後もこの3月まで続いていたのが「学校放送」というこれまた各学期発行の雑誌
です。2000〜2003までの4年間は3年生・4年生向けに出版され各学校に送られてい
たと聞いています。その後、「えいごリアン2000〜2001」が「えいごリアン4」と
して放送されることになって4年生用の「学校放送」に載っていました。これは、テキ
ストより更に詳しくアクティビティを紹介し、ひとつの番組を数回の授業に発展できる
ようにしてありました。

 今となっては、そのどれも出版されなくなっていますので、職員室の棚を整理なさる
ときに、必ず保存して、利用してください。捨ててしまうのはもったいない、時を経る
ほどに値打ちが出てくるかもしれません。・・・と、この「広場」のお喋りの2人がこ
れに深く関わっていたものですから、つい熱がこもりました。

                              久埜百合
※「えいごリアン2000、2001」のDVDは、こちら から購入できます。